法話

こだまするお念仏

 昨年の7月に、ご縁の深い大應寺さまより先代住職様のご法事にお招きいただき、お参りに伺いました。通された客僧部屋でお茶を頂いておりますと、ふと壁に飾られている額に目が留まりました。そこには、次のように書かれています。

「慶讃開宗八百年

  念佛を称え始めし廣谷の

  祖師のみ跡に聲こだまする

   浄土門根元地西山沙門諦空」

昭和49年、今から52年前に総本山光明寺で、立教開宗八百年の記念大法会が厳修されました。宗祖法然上人が浄土宗を開かれてから、八百年の節目に当たる大きな法要です。その大法要で慶讃導師を勤められた大應寺の先々代住職様が、当時の御法主、第78世森英純猊下より賜ったものがその御染筆でありました。子供の頃から何度も訪れている大應寺さまですので、その額が飾られていることは認識していましたが、じっくりとそこに書かれている短歌を読んでみたのは、その時が初めてでした。それを眺めていますと、盛大に行われたであろう52年前の大法要の様子が、思い描かれます。法然上人御自作の「張子の御影」をお祀りした十八間四面の御影堂で、満堂の僧俗が共に南無阿弥陀仏のお念仏をお称えする。そして、そのお念仏の声がこだまするように広い堂内へと響き渡る様子が、ひしひしと伝わってまいります。

 それから50年を経た令和6年4月、今からちょうど2年前に総本山光明寺に於いて、立教開宗八百五十年の記念法要が盛大に厳修されました。私は西部宗務支所の代表として、慶讃導師の御役を勤めさせて頂きました。思い返せば、前年秋の辞令伝達式で御法主猊下より辞令を拝命して以降は、それに向けての様々な準備や、法要当日の作法の練習などに日々追われていました。当日の法要を終えるまでは、なにか地に足が着かず夢見心地の中で過ごしていたように感じられました。いま改めて振り返ってみますと、有縁の多くの方々のお陰により無事に勤め終えたことに、只々感謝の念に堪えません。五十年に一度の大法要が勤まる中で、その責任ある御役を担えたことに、心から安堵したことが思い出されます。 

 本年も4月19日から25日までの7日間、御本山に於いて「第八百十五回御忌」が勤められます。御忌は法然上人の御法事であり、上人の御遺徳を讃える、我が宗では最も大切な行事です。総本山光明寺は、法然上人が初めてお念仏のみ教えを説かれた粟生廣谷の地にある「浄土門根元地」であります。このお念仏の聖地である御本山で毎年御忌が勤まることは、大変尊いことです。本年もたくさんの方と共に、僧俗一体となって、南無阿弥陀仏のお念仏が御本山の御影堂にてお称えされることでしょう。ぜひこの仏縁に浴して頂くことを、お勧め致します。

令和8年4月
「ひかり 第794号」にて掲載

 

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