法話

お数珠について

 お数珠は「念珠(ねんじゅ)」と呼ぶこともあり常に念仏を励み信仰を高めるために持つ、仏教徒のシンボルとも言える仏具です。宗派によってその形状は多少の違いがあります。浄土宗では、「日課数珠」といわれる、二つの輪がつながった独特のお数珠が使われています。お数珠の掛け方は、二連とも左手に持ち、それに右手を添えるようにして合掌をします。房は下に垂らすようにして持ちます。合掌していない時は、二連とも左手に持っておくか、左の手首に掛けるようにします。
 お数珠の素材としては、珊瑚類・虎目石・琥珀・水晶・白檀・黒檀・紫檀・鉄刀木(たがやさん)・柘植(つげ)・香木などなど、様々です。星月菩提樹(写真下)などは、使っていくと時間とともに飴色に変わっていきますので、味わいが増していきます。また、長く使っていくと珠を繋いでいるひもが弱くなり切れてしまうことがあります。そういった場合は、仏具店に修理に出せば、対応してもらえます。ひもが切れたからと言って、縁起が悪いということは、決してありません。
 法然上人のお弟子さんに阿波の介という人がいました。阿波の介は、自身が今までに行ってきた悪業を悔いて、法然上人の弟子となります。毎日、数多くのお念仏を称えようと心掛けた阿波の介は、お数珠を繰りながら念仏の数を数えていました。そのうちに、より多くの念仏を数えるため、二連のお数珠を使うことを考案しました。これが、二連のお数珠を使うようになった謂れです。ちなみに、男性用のお数珠は、三万浄土(三万繰)と呼ばれ、念仏を唱える時にすべての珠を使って繰ると三万二千四百遍称えられます。また女性用は、八寸浄土(六万繰)と呼ばれ、同じように繰ると六万四千八百遍称えられます。
 お数珠は、仏さまやご先祖さまを拝んだり、お念仏をお称えする時には欠かせない大切な仏具です。仏前においては言うまでもありませんが、出来ることならば、日常においても常に身につけておきたいものです。

平成289
「西生寺だより 第28号」にて掲載





 

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