法話

方丈(ほうじょう)

 現在、日本の仏教は大きく分けて十三宗に分かれています。また、更にそれぞれの宗派ごとに分けて数えますと、百以上にも上ります。したがって、住職や僧侶の呼び方についても、その宗派によって、或いは地域によってそれぞれ異なります。普段よく耳にするものであれば、和尚(おしょう)さん、お上人(しょうにん)さん、ご院家(いんげ)さん等があります。私たち浄土宗系の僧侶、或いは住職の場合は、「方丈(ほうじょう)さん」と呼ばれることが一般的です。
 「方丈」とは、一丈四方(四畳半くらい)の広さまたは、その広さの部屋のことを言います。「維摩経(ゆいまきょう)」というお経の中に、維摩居士(ゆいまこじ)というお釈迦様のお弟子さんが出てきます。居士とは、在家(出家ではない)の弟子のことを言います。その維摩居士が居室とした簡素な部屋が、方丈であったと説かれています。そのようなことから、寺院の住職が生活する建物のことを特に方丈と言うようになり、そこを住まいとする僧侶のことを指して方丈と呼ぶようになりました。
 日本に於いては、室町時代中期以降になると仏像や祖師像が方丈に安置されるようになりました。今でも京都の名刹寺院に行くと、方丈の間を見ることが出来ます。私たちの総本山である粟生の光明寺にも立派な方丈の間(写真右)があり、堂内には「頬焼けの釈迦如来像」がお祀りされています。
 最後に、皆さんが今後、どこの宗派か分からない僧侶と接する機会があった場合は、「お坊さん」、「お寺さん」とお呼びすれば、間違いないと思います。


平成269
「西生寺だより 第16号」にて掲載






光明寺の釈迦堂

 

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