法話

精進料理

 西生寺では、春季彼岸法要とお十夜法要の際に御斎(おとき)を用意して、お参りの皆さんと共に頂きます。御斎とは、法要や法事などの時に頂く精進料理のことです。
 仏教徒が行なう修行の中に、六波羅蜜(ろくはらみつ)という6つの行がありますが、この中のひとつに「精進」という行があります。精進とは文字通り一心不乱に仏道の修行に励む事です。仏教では、戒律の中で殺生が禁じられていたことから、次第に肉食も禁止されるようになりました。そのため僧侶への布施を行う場合は、野菜や豆類、穀類などを調理した料理が施されました。
 精進料理の特徴は、野菜、豆類などの植物性の食材を調理して食べることにありますがこれらの食材は基本的に加熱調理する必要があり、また、あく抜きや水煮といった時間と手間のかかる下処理を必要とします。このように、精進料理は極めて単純な食材を多くの制約がある中で調理する訳ですから、まさに「精進」して調理しなければ、美味いものが出来ないということです。
 ちなみに僧侶が精進料理を食する時は、これをひとつの「行」と捉える為、食前と食後に食作法(じきさほう)というお経をお唱え致します。
 当寺では、西生寺婦人会の皆さんが代々守り継いだ味を更に創意工夫を重ねて、今日ある「西生寺の御斎」に至っております。精進料理に限らず常に食事を頂くときは、精進して調理して下さった方、そして食材となった尊い命に対して、心から感謝の気持ちを込めて頂きたいと思います。


平成24年5月
「西生寺だより 第2号」にて掲載







 

Copyright© 2016 Saishouji All Rights Reserved.

〒800-0063 福岡県北九州市門司区大里本町1-8-8
電話:093-381-2127 FAX:093-391-3236