法話

宗祖法然上人追慕念仏行脚

 私たち「西山浄土宗西部青年僧の会」では、その規約にもあるように、会員相互の親睦を深め宗旨を正しく受け継ぐことを目的として、様々な活動を行っております。現在、年に一度開催されている「宗祖法然上人追慕念仏行脚」も、それらの活動のひとつであります。

 平成元年2月4日、濱田俊史会長の発案により第一回の念仏行脚が行われました。今から約22年前のこの日、田野浦の真楽寺を出発した青年僧の一行約20名は、私の自坊である大里の西生寺へ到着しました。高校卒業を間近に控えていた当時の私は黒衣姿でお念仏を高らかにお称えする青年僧侶の神々しいお姿を、本堂の御縁の隅より眺めておりました。やがて同年の3月に私は京都の御本山へ随身し、そしてその5年後に自坊へ戻り、当会へ入会することとなりました。

 私が入会した当時は、毎年1月の中旬に豊前地区の寺院を中心に念仏行脚をしていました。私にとっては初めてお参りさせて頂く御寺院も多く、宗門内のことを広く知る為にも大変よい機会となりました。これもこの行事を行う趣旨の一環であることを感じました。

 平成18年、中山卓大会長の時に、念仏行脚は筑前地区の宗像市内で開催されそれまでより広い範囲でまた多くの方々の参加の中で勤められるようになりました。翌平成19年、20年には、浄土宗鎮西派の御寺院へもお参りさせてもらうという御縁を頂きました。同じく法然上人を宗祖と仰ぐ我らにとって、大変貴重な経験となりました。

 京都の総本山光明寺では、昭和55年より黒衣法要及び宗祖法然上人追慕念仏行脚が、毎年1月24日に厳修されております。御本山の御影堂にて黒衣法要を奉修した後、太秦西光寺から粟生光明寺までを念仏行脚致します。この京都で行われている念仏行脚には、当会からも毎年参加しておりますが私が会長を勤めさせて頂いた平成19年にも、我らは数名で参加致しました。念仏行脚は無事にその行程を終え、数百名の行脚僧一行は総本山光明寺の総門から参道を進み、上人御火葬趾に至りました。そこで御法主猊下を御導師に頂き、数百名の黒衣僧と共に勤行が勤められます。勤行の後には御法主であられる岩田文有猊下より御垂示を頂戴しましたが、その中で、「九州の方でも青年僧の方たちによって、毎年念仏行脚が勤められていることは大変有難い。」というお言葉がありました。このお言葉を頂戴したことは、我らにとってまさに感激の極みでありました。それと共に、当会の諸先輩方より継承されてきたこの活動の意義を、改めて強く感じました。

 来年はいよいよ「宗祖法然上人八百回御遠忌」をお迎え致します。この有難い御法縁を迎えるにあたり、私たち宗侶は益々宗祖がお勧め下されたお念仏の御教えに浴しそして布教教化していかなければなりません。この先も「宗祖法然上人追慕念仏行脚」を修し続けることが、その教化活動のひとつとなることを心より願う次第です。

平成22年11月
西山浄土宗西部青年僧の会会報「さいほう 第25号」 にて掲載

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